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第六の栄養素

食物繊維は、「食べ物のカス」などと言われ、見向きもされなかった。が、1973年、イギリスの医学者が「食物繊維の多い食事をとっているアフリカ人には、大腸ガン、胆石、糖尿病、心臓病などの文明病がほとんどない」との調査結果を発表した。それによって、脚光を浴びた。

その後の研究で、食物繊維には以下の生理作用があることが分かった。

  • (1)腸を刺激し、便通を良くする
  • (2)金属イオンを吸着する
  • (3)糖分やコレステロールの吸収を遅らせる
  • (4)胆汁酸などの有害物を吸着する

以上に理由から、「第六の栄養素」と呼ばれるようになった。

日本食品化工「コーン・ダイエタリーファイバー」

食物繊維の一日の必要量は20グラムから30グラムという。ところが、現在の日本人の食生活を見ると、白米、よく精製された小麦粉など繊維分がほとんど除かれたものを主食にしている。海藻も少ない。繊維の多い食品が注目される理由だ。

日本食品化工は、トウモロコシの種皮を精製し、繊維分85%以上の「コーン・ダイエタリーファイバー」を発売した。

日本製粉では、小麦ふすまを微粉末にしたものを作っている。繊維の含有率は43%とやや低いが、香ばしい新食品として期待されている。

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ファイブミニのCM「飲む繊維」(山田邦子、1980年代後半)



日本栄養・食糧学会で研究報告「排便との関係」

大阪で開かれた日本栄養・食糧学会には、「食物繊維」について23の研究が報告された。「繊維の量と排便の関係」も、その1つ。

東京農大・印南敏教授(食物繊維の研究者)の指導

これは、東京農大・印南敏教授(食物繊維の研究者)の指導のもと、男子学生5人が自分の体を実験台にして調べたもの。まず繊維をゼロにした食事を1週間続け、次の週は繊維を1日12グラムとる食事、さらに32グラム、53グラムと増やしていった。献立は、熱量を一定に、その他の栄養素もなるべくそろうように組み立て、運動などの生活条件も合宿で同じようにした。

だん便秘しない学生が「繊維ゼロだと、うんちが出ない」

実験によると、各週の平均便量は、繊維の量が増えるにつれて、確実に増加していた。また排便の間隔については、ふだんは便秘をしない学生なのに、「繊維ゼロ」の週は平均33時間に1度しかうんちが出なかった。

12グラムの週になって、ようやく平均25時間の排便間隔になった。32グラムの週は毎朝1度。53グラムの時は、ほかの時間帯に軽い便意を感じもしたが、結局、朝1回しかしなかったという。