糖尿病とたんぱく質の摂取について。神戸市長田区の永田診療所では、糖尿病のご相談・診察を行っております。

糖尿病とたんぱく質

尿にタンパクが出るなら、タンパクを多く食べればよいか

答は、タンパクを多く食べると腎臓病が悪化してしまいます。主治医、栄養士などに相談して、あなたの症状に適した量に減らさなければなりません。

腎臓病になると尿にタンパクが出ます。血糖のコントロールが悪い糖尿病では、数年すると尿のタンパクがときどき陽性になり、1~2年するといつも陽性になります。この状態は、糖尿病性腎症がある程度進行している時期です。そして、次第に尿のタンパクの量が多くなって、1日数gも尿に失われるようになります。肝臓で作られるアルブミンなどの大切なタンパクが多く失われると、血液中のタンパクが少なくなって低タンパク血症の状態になります。この状態になると、水分を血管内に留めて尿として排泄する力が弱くなって、身体に余分な水分がたまり、むくんできます。手足も顔もはれぼったく、足の甲やすねの骨の上を指で押すと、いつまでも凹みが残ります。
腎臓の働きを見るには、血清クレアチニンの値がよい目安になります。男性1.2mg/dL以下、女性0.8mg/dL以下が正常で、2.0mg/dLを越えたら腎症が進行しているといえます。

成人のたんぱく質摂取について

タンパクはアミノ酸が数十個から数万個も結合したものです。アミノ酸は食物のタンパクから補給されますが、一部は身体のなかでも作られます。身体で作ることのできないアミノ酸(必須アミノ酸)を多く含むのが良質のたんぱく質です。日常生活では、体調を調えるために毎日タンパクが入れ替わります。毎日失われるタンパクを補うためには、成人では体重kgあたり約1gをとることが必要です。良質のタンパクなら、体重kgあたり0.6gでよいといわれています。

日常の注意

タンパクを多く食べると、アミノ酸の分解で生じる尿素などの老廃物が多くなりますから、それを排泄する腎臓の負担も多くなります。腎臓の働きが正常なら何ともありませんが、糖尿病性腎症で弱っているときは、なるべくその負担を軽くし、腎症が進行しないようにすることが大切です。実際、食物タンパクの量を減らすことで、腎症が改善し、進行が止まることが証明されています。