痛風解説と薬物療法。神戸市長田区の永田診療所で診察している、高尿酸血症と痛風についてお話しします。

高尿酸血症と痛風

痛風ってどんなもの?

痛風は、尿酸という物質が関節に沈着して起きる病気で、一日前後で痛みがピークに達し、10日前後で治まるという発作が特徴です。その痛みは、人が経験する痛みの中で最も激しいとされています。
尿酸は、私たちの遺伝情報として全身の細胞に含まれている「核酸」が古くなって分解され、肝臓でつくられる老廃物の一種です。尿酸は溶けにくい物質の一つで、血液には100mLあたり7mgしか溶けません。尿酸の合成が増えたり、腎臓からの排泄が低下すると、血液中の尿酸が増えて、高尿酸血症になります。尿酸は、関節ばかりでなく、血管壁や腎臓にも沈着し、動脈硬化症や尿路結石・腎障害等を起こすので、高尿酸血症の治療は大変重要です。健康な人の全身の尿酸の量は2g前後ですが、痛風発作を起こした人では何倍にも増加しています。

高尿酸血症の薬物療法について

高尿酸血症の治療の目的は、血液中の尿酸を6mg/dL以下に下げることで、体内に過剰に沈着した尿酸を正常に戻し、痛風発作や腎障害を予防することにあります。


●尿酸低下剤

血液中の尿酸を減らすには、肝臓での尿酸の合成を抑えるくすり(アロプリノール)と尿への尿酸排泄を促進するくすり(ベンズブロマロンなど)が広く用いられます。いずれか一方のみで治療する場合と、併用する場合があります。長期間にわたって飲けつづける必要があります。

●尿アルカリ剤

尿酸はアルカリ性の尿にはよく溶けますが、酸性の尿には溶けません。尿が酸性(pH<6.0)の方は、尿アルカリ化剤(ウラリットU,またはウラリット錠など)で尿をアルカリ性(pHを6.5前後)に保ちます。尿pHテスト紙が役立ちます。

日常の注意

アルコール飲料は、その種類によらず尿酸の合成を促進し排泄を低下させるので、血液中の尿酸が著しく増加します。特にスポーツのあとのビールなどは、痛風発作の引き金になることがあるので注意が必要です。